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石ってすごいね

ある地球科学者のひとりごと。なぞかけ、なぞときの日々。

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蛇紋岩が熱い

千葉の幕張メッセで開催される地球惑星科学連合大会に参加して参りました。
今年は地球学コースの先生方に無理を言って、授業を休ませていただき、
少し長めに滞在して蛇紋岩に焦点を当てたセッションに出席してきました。

比較的小さな部屋だったとは言え、立ち見でも入りきれないくらいの盛況ぶり。
蛇紋岩の虐げられようを長年見てきた私としては、驚くべき状況でした。

なんとなく、そこに蛇紋岩があるんだろうなあ、と思われていたマントルウェッジ。
最近の地震波速度構造の解析から、蛇紋岩らしい特徴を持つ領域がかなり詳細に
見えるようになって来たこと。それがどうも最近話題の低周波地震の震源の位置と
関係があるらしいこと。また、分布に多様性があるらしいこと。いろんなことが
見えるようになってきました。

もし、蛇紋岩の分布域や構造が分かるなら、
沈み込み帯の力学的、化学的プロセスにおける役割をもっと具体的に論じることができるでしょう。
特に、地震発生過程において蛇紋石の物性を理解することは大切。
ということで、各分野で細々と(?)やってこられた研究者の方々が一同に会して、
成果を発表してくださったのでした。

▽つづきはこちら



発表全体を聴いてみて感じたこと。

地球物理(観測)と地球物理(実験)と地質(岩石学)と地質(構造)とモデル計算。
それぞれ、少しずつ違った認識を持っている状況にあるように感じられました。
真実への道のりはまだ遠いように感じたのは私だけでしょうか(※)。

地質屋の見るところ、蛇紋岩が単純化されすぎている点が気になります
(マイナー種目として各々ひそかに楽しんで来られた背景が影響しているかもしれませんが)。
蛇紋岩の複雑さ、扱いの難しさを共有しないと、議論が堂々巡りに陥る危険すらあると思います。

地質屋が物理屋さんたちを案内できれば、この状況は転回していくのではないか。
私の中でも蛇紋岩がにわかに熱くなってきました。

脱水分解するまで、どんどん熱くしていきましょう。そして、水が抜けてしまった後に何が残るか、
みんなで見てみましょう。


(※追記)
「道のりが遠い」は少し表現が適切ではないですね。「真実はまだ先にある気がした」と訂正いたします。
データの価値は疑うべくもありませんが、まだ何通りもの解釈が可能な状況だと思います。
すべてを整合的に説明するには何かが足りないと思うのです。
それが何かは今後のお楽しみということで・・・。
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