構想:構造岩石学研究室
2010.02.11 |Category …研究のこと
研究室が立ち上がって2年が経とうとしています。
来年は2代目の学生を迎え、総勢5名、とボリュームアップ。
これまでは、ふらふらと隙間を漂うように運営してきましたが、
研究室の「形」「方向性」を明確にせねば、と感じ始めました。
いつまでも考えてばかりでは進まないので、いったん、ここに書いてみます。
来年は2代目の学生を迎え、総勢5名、とボリュームアップ。
これまでは、ふらふらと隙間を漂うように運営してきましたが、
研究室の「形」「方向性」を明確にせねば、と感じ始めました。
いつまでも考えてばかりでは進まないので、いったん、ここに書いてみます。
▽構想(作成中)
研究室名:構造岩石学研究室(Petrology and Structural Geology Lab.)
金沢大学地球学コースは研究室制をとっており、それぞれの研究室名の頭に教員の名前がついています。しかし、きまぐれな性格のため「水上はこれ」というものが確立されているわけでもなく(確立できるかどうかも定かではなく)、また「水上研究室」という名称では中身を伝えることができません。そこで「構造岩石学」という造語を研究室の頭につけることにしました。
堆積構造、組成の縞々、柱状節理、変形構造、熱構造など、地球には様々な構造があります。広い意味で「構造」に注目し、岩石学、構造地質学、その他の手法を用いて、その形成過程と地質学的な意味を考えていきます。様々な手法を融合させる研究スタイルの、割りきれない感じが表われている研究室名かな、と思います。
岩石学グループを構成する研究室の一つです。
研究分野:地球科学
「研究分野は何ですか?」と尋ねられたら「地球科学」もしくは「地質学」と答えています。
地球で起こっているありとあらゆる現象はつながっていて、分野の枠で区切れるものではないと感じています。データを取得し解釈する上でそれぞれの分野の研究手法や哲学は大切にしますが、問題を突き詰めていく過程で「枠」をはみ出してしまう可能性が強いです。
「環境科学」は現在のところ意識していません。「環境問題」には興味があり、自然との共生を考えることで人生の指針を得ていますが、「科学」にする明確なビジョンがありません。ただ、天然の物質を調べる中で自然に対する感性が育つので、地球科学は「環境教育」の一端を担う重要な役割を持っている、と考えています。
研究手法:岩石学・構造地質学・分光学
軸となる研究手法は、岩石学、構造地質学、分光学の3つです。これらを駆使すれば、地球内部の物質の起源、成因、物性、変質を調べることができます。一見アンバランスな組み合わせに見えるかもしれませんが、将来は主流になるかもしれません。研究テーマに応じて重心を置く手法が異なります。それぞれの手法について簡単に説明いたします。
・岩石学(Petrology)
岩石や鉱物を「物質」として扱い、その化学組成や安定性を論じます。岩石がどのような場所で、どのようなプロセスを経て形成されたかを明らかにします。用いる装置は、偏光顕微鏡、マイクロプローブ(EPMA)、蛍光X線分析装置、LA-ICP質量分析装置などです。
・構造地質学(Structural geology)
岩石や地質体を、連続的な「媒体」もしくはその集合とみなし、その物性または力学的挙動(変形挙動)の解析を行ないます。フィールド調査に基づく広域的な地質・変形構造の解析、マクロ~ミクロの構造の定量化などが目的です。用いる装置は、クリノメーター、偏光顕微鏡、ユニバーサルステージ、電子顕微鏡、EBSD(学外研究室)などです。構造を見る目(感性)が必要です。
・分光学(Spectroscopy)
スペクトルから物質の物理・化学状態を明らかにする分析手法全般を指しますが、ここでは特に可視~赤外領域の光を利用します。岩石に含まれている流体や有機物、鉱物の密度、歪み、結晶度などの存在状態を調べます。用いる装置は、顕微ラマン分光分析装置、FT-IR分光装置などです。地質試料への適用はまだ歴史が浅いので、活用法の開発や最適化も研究テーマとなりえます。可能性を秘めています。
研究テーマ:地球の深部構造の解明
「深部」という言葉はあえて定義しません。そのイメージは人によって異なると思いますが、私の感覚として、自分の身長よりも2ケタ以上大きなスケールであれば深いかな、と思っています。実際には、地殻下部からマントルを研究対象とする場合が多いですが、より浅部の熱構造、地質構造にも興味があります。
メンバー個人の研究テーマに加えて、研究室の共同研究テーマを持って、並行して取り組んでいきます。個々の内容については別項で紹介いたします。
研究室の特徴
・観察をベースに研究を行ないます。
・ゆっくり考えます。
・無知は研究のモチベーションと考えます。
・科学のエンターテインメント性を大切にします。
・理想、ときに夢を語ります。
・科学者として学生も教員も対等です。
ゼミ
以下の3つのゼミがあります。
(1) 岩石学グループゼミ(地殻化学ゼミ)
(2) 森下・水上合同ゼミ
(3) 深部構造ゼミ
(1) 、(2)が研究指導、教育の場となっています。参加は必須です。(3)はお勉強会で任意参加です。
ほか、週1回ミーティング(水曜お昼頃)を行ない、研究の進捗状況や予定の確認をします。
その他の活動
・金沢石拾い倶楽部
趣味と実益を兼ねた地質見学旅行を企画します。
四国かんらん岩巡検、三重県岩脈探索、岩手県蛇紋岩登山などを考えていますが、2010年度はどのくらい実現できるでしょうか。
その他、週末を利用して北陸近辺で活動します。提案募集中。
・スポーツ
研究は体力勝負。停滞しがちな血流を運動で取り戻します。
キャッチボール、バドミントン、ミニサッカー、卓球?
メンバー募集中です。
・キャンプ合宿
ときに山での技術も必要です。自然に入り、キャンプを通じて山での生活の技と感覚を磨きます。
・宴
思い立ったら吉日。節目にも。備えておいてください。
どちらかと言えば、勢いより趣きを重視します。くつろぎの中に粋な味わいを。
研究指導方針
学生のそれぞれの特長を活かして、何か新しいことができるとよいと思っています。議論は日常の中で行ないます(科学が日常会話)。
4年生に習得して欲しい技術は、①客観的なデータを収集し、②適切な科学用語と図を用いて発表し、③論理的な文章を書くことです。そのためには、調査と分析の技術を身につけると共に、当該分野の基礎知識と先行研究を正しく理解し、適切な問題設定をし、取得したデータを評価して、論理的に解釈しなければなりません。また、グラフや地質図などの図の提示法と、論文の書式を知る必要があります。
「地球学課題研究」と「地球学文献演習」でこれらの実践を行ないます。心掛けてほしいことは以下の5点です。
①自分が研究の第一責任者であることを意識してください。
②自発的に活動してください。何をすべきか考えて、積極的に相談してください。
③満点以上を目指してください。平均点、合格点を目指す姿勢では信頼性の高いデータは得られませんし、仕事は完成しません。
④自分の考えを持つ癖をつけてください。そして、根拠を明確にすること。
⑤研究では、あいまいさを取り除くことが大切です。疑問が浮かんだら、聞く、調べるなどして直ちに解消しましょう。
卒業研究のテーマは、学生と水上で相談して決めます(少し時間をかけます)。テーマの持ち込みは大歓迎ですし、必要であれば水上が主導します。期間が1年間と短いので、できるだけポイントを絞り込んで、基礎的な技術、知識、論理で解決できるような問題設定をしたいと考えています。大学院への進学を希望する学生には発展的なテーマを考えます。
文献演習では、卒業研究のテーマに関連する文献を全文日本語訳(合計50ページ、図、引用文献を除く)し、総括してもらいます。調査地域の地質情報などではなく、テーマに関係するレビューや研究例を見ます。学生が検索し、選択した文献を1本以上含むことを要件とします。はじめの1、2本は水上が提供します。学科(コース)内の締め切りは10月末ですが、調査等の便宜のため研究室内の締め切りを7月末とします。早めに相談しましょう。
大学院生には、自分で研究計画を立てて実践する、自立した研究者となってもらいたいと思っています。研究の専門性を高め、学会に貢献できるような活動(研究発表や論文投稿)を求めます。
学内では、ゼミの運営など岩石グループの運営に協力をお願いします。装置の維持管理に関わり、分析データの信頼性に責任を持てるようになってください。教育面で、TAや卒業研究のサポートを通じて、基礎知識を下級生に伝える役割を担ってください。研究においては、得られたデータを用いてモデルを立てることを目標とします。したがって、修了の段階で、何らかの理論やテクトニックモデルについて自分なりの見解を持っている必要があります。
座右の銘
静かなるものは健やかに行く 健やかなるものは遠くまで行く (パレート)
座右の書
「劒岳<点の記>」 新田次郎著
金沢大学地球学コースは研究室制をとっており、それぞれの研究室名の頭に教員の名前がついています。しかし、きまぐれな性格のため「水上はこれ」というものが確立されているわけでもなく(確立できるかどうかも定かではなく)、また「水上研究室」という名称では中身を伝えることができません。そこで「構造岩石学」という造語を研究室の頭につけることにしました。
堆積構造、組成の縞々、柱状節理、変形構造、熱構造など、地球には様々な構造があります。広い意味で「構造」に注目し、岩石学、構造地質学、その他の手法を用いて、その形成過程と地質学的な意味を考えていきます。様々な手法を融合させる研究スタイルの、割りきれない感じが表われている研究室名かな、と思います。
岩石学グループを構成する研究室の一つです。
研究分野:地球科学
「研究分野は何ですか?」と尋ねられたら「地球科学」もしくは「地質学」と答えています。
地球で起こっているありとあらゆる現象はつながっていて、分野の枠で区切れるものではないと感じています。データを取得し解釈する上でそれぞれの分野の研究手法や哲学は大切にしますが、問題を突き詰めていく過程で「枠」をはみ出してしまう可能性が強いです。
「環境科学」は現在のところ意識していません。「環境問題」には興味があり、自然との共生を考えることで人生の指針を得ていますが、「科学」にする明確なビジョンがありません。ただ、天然の物質を調べる中で自然に対する感性が育つので、地球科学は「環境教育」の一端を担う重要な役割を持っている、と考えています。
研究手法:岩石学・構造地質学・分光学
軸となる研究手法は、岩石学、構造地質学、分光学の3つです。これらを駆使すれば、地球内部の物質の起源、成因、物性、変質を調べることができます。一見アンバランスな組み合わせに見えるかもしれませんが、将来は主流になるかもしれません。研究テーマに応じて重心を置く手法が異なります。それぞれの手法について簡単に説明いたします。
・岩石学(Petrology)
岩石や鉱物を「物質」として扱い、その化学組成や安定性を論じます。岩石がどのような場所で、どのようなプロセスを経て形成されたかを明らかにします。用いる装置は、偏光顕微鏡、マイクロプローブ(EPMA)、蛍光X線分析装置、LA-ICP質量分析装置などです。
・構造地質学(Structural geology)
岩石や地質体を、連続的な「媒体」もしくはその集合とみなし、その物性または力学的挙動(変形挙動)の解析を行ないます。フィールド調査に基づく広域的な地質・変形構造の解析、マクロ~ミクロの構造の定量化などが目的です。用いる装置は、クリノメーター、偏光顕微鏡、ユニバーサルステージ、電子顕微鏡、EBSD(学外研究室)などです。構造を見る目(感性)が必要です。
・分光学(Spectroscopy)
スペクトルから物質の物理・化学状態を明らかにする分析手法全般を指しますが、ここでは特に可視~赤外領域の光を利用します。岩石に含まれている流体や有機物、鉱物の密度、歪み、結晶度などの存在状態を調べます。用いる装置は、顕微ラマン分光分析装置、FT-IR分光装置などです。地質試料への適用はまだ歴史が浅いので、活用法の開発や最適化も研究テーマとなりえます。可能性を秘めています。
研究テーマ:地球の深部構造の解明
「深部」という言葉はあえて定義しません。そのイメージは人によって異なると思いますが、私の感覚として、自分の身長よりも2ケタ以上大きなスケールであれば深いかな、と思っています。実際には、地殻下部からマントルを研究対象とする場合が多いですが、より浅部の熱構造、地質構造にも興味があります。
メンバー個人の研究テーマに加えて、研究室の共同研究テーマを持って、並行して取り組んでいきます。個々の内容については別項で紹介いたします。
研究室の特徴
・観察をベースに研究を行ないます。
・ゆっくり考えます。
・無知は研究のモチベーションと考えます。
・科学のエンターテインメント性を大切にします。
・理想、ときに夢を語ります。
・科学者として学生も教員も対等です。
ゼミ
以下の3つのゼミがあります。
(1) 岩石学グループゼミ(地殻化学ゼミ)
(2) 森下・水上合同ゼミ
(3) 深部構造ゼミ
(1) 、(2)が研究指導、教育の場となっています。参加は必須です。(3)はお勉強会で任意参加です。
ほか、週1回ミーティング(水曜お昼頃)を行ない、研究の進捗状況や予定の確認をします。
その他の活動
・金沢石拾い倶楽部
趣味と実益を兼ねた地質見学旅行を企画します。
四国かんらん岩巡検、三重県岩脈探索、岩手県蛇紋岩登山などを考えていますが、2010年度はどのくらい実現できるでしょうか。
その他、週末を利用して北陸近辺で活動します。提案募集中。
・スポーツ
研究は体力勝負。停滞しがちな血流を運動で取り戻します。
キャッチボール、バドミントン、ミニサッカー、卓球?
メンバー募集中です。
・キャンプ合宿
ときに山での技術も必要です。自然に入り、キャンプを通じて山での生活の技と感覚を磨きます。
・宴
思い立ったら吉日。節目にも。備えておいてください。
どちらかと言えば、勢いより趣きを重視します。くつろぎの中に粋な味わいを。
研究指導方針
学生のそれぞれの特長を活かして、何か新しいことができるとよいと思っています。議論は日常の中で行ないます(科学が日常会話)。
4年生に習得して欲しい技術は、①客観的なデータを収集し、②適切な科学用語と図を用いて発表し、③論理的な文章を書くことです。そのためには、調査と分析の技術を身につけると共に、当該分野の基礎知識と先行研究を正しく理解し、適切な問題設定をし、取得したデータを評価して、論理的に解釈しなければなりません。また、グラフや地質図などの図の提示法と、論文の書式を知る必要があります。
「地球学課題研究」と「地球学文献演習」でこれらの実践を行ないます。心掛けてほしいことは以下の5点です。
①自分が研究の第一責任者であることを意識してください。
②自発的に活動してください。何をすべきか考えて、積極的に相談してください。
③満点以上を目指してください。平均点、合格点を目指す姿勢では信頼性の高いデータは得られませんし、仕事は完成しません。
④自分の考えを持つ癖をつけてください。そして、根拠を明確にすること。
⑤研究では、あいまいさを取り除くことが大切です。疑問が浮かんだら、聞く、調べるなどして直ちに解消しましょう。
卒業研究のテーマは、学生と水上で相談して決めます(少し時間をかけます)。テーマの持ち込みは大歓迎ですし、必要であれば水上が主導します。期間が1年間と短いので、できるだけポイントを絞り込んで、基礎的な技術、知識、論理で解決できるような問題設定をしたいと考えています。大学院への進学を希望する学生には発展的なテーマを考えます。
文献演習では、卒業研究のテーマに関連する文献を全文日本語訳(合計50ページ、図、引用文献を除く)し、総括してもらいます。調査地域の地質情報などではなく、テーマに関係するレビューや研究例を見ます。学生が検索し、選択した文献を1本以上含むことを要件とします。はじめの1、2本は水上が提供します。学科(コース)内の締め切りは10月末ですが、調査等の便宜のため研究室内の締め切りを7月末とします。早めに相談しましょう。
大学院生には、自分で研究計画を立てて実践する、自立した研究者となってもらいたいと思っています。研究の専門性を高め、学会に貢献できるような活動(研究発表や論文投稿)を求めます。
学内では、ゼミの運営など岩石グループの運営に協力をお願いします。装置の維持管理に関わり、分析データの信頼性に責任を持てるようになってください。教育面で、TAや卒業研究のサポートを通じて、基礎知識を下級生に伝える役割を担ってください。研究においては、得られたデータを用いてモデルを立てることを目標とします。したがって、修了の段階で、何らかの理論やテクトニックモデルについて自分なりの見解を持っている必要があります。
座右の銘
静かなるものは健やかに行く 健やかなるものは遠くまで行く (パレート)
座右の書
「劒岳<点の記>」 新田次郎著
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