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石ってすごいね

ある地球科学者のひとりごと。なぞかけ、なぞときの日々。

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Workshop on Subduction Interface in W Alps

7月1日から9日まで、森下さんにお誘いいただいて、ヨーロッパのワークショップに参加してきました。
私としてはヨーロッパ初上陸。論文などの文書や発表でしか知ることのできなかった彼らの地球観を
実感することができたという点で、ものすごい充実感があります。
大学での教務を置いて参加してきた甲斐がありました。

人間の価値観は経験に根ざしています。
ヨーロッパの地質学者、地球科学者の価値観の一つの軸はアルプス。
そこで観察される事実、推測されるエピソードこそが最も興味深いこと。
ある意味あたりまえのことであり、そこから外れる人は少し変わった人。

アルプスは大陸の間にテチス海という小さな海が開いて、それが閉じた際に
形成されたと考えられています。海洋リソスフェアと大陸の沈み込みという
複雑なテクトニックイベントの結果としてできた岩石が、アルプスの山々を作っています。

彼らはそこから出発して、そのフィールドで解ける問題に取り組もうとしています。
ものすごくハイレベルの研究を行なっているのは確かで、敬意を表すしかないのですが、
ある特殊なセッティングにフォーカスしています。

では、日本人にとって大事なのは?

南海トラフの沈み込み帯であり、東北日本沖の太平洋プレートの沈み込みです。
3月に東日本で起こったような巨大地震、東海から南海でおよそ100年ごとに起こる
巨大地震、その背景にあるプレート境界構造とひずみの蓄積模様。
私たちの解くべき問題はそこにあります。

アメリカの問題はアラスカ、カスケードで起こる沈み込み型の地震であり、サンアンドレアス断層の滑動です。
やはり、私たち日本人が直面している問題とはやはり少し異なります。


私が自信を持って言えるのは、日本人は日本で解くべき問題を持っているということです。
そして、その解決のためには、今回西アルプスで開かれたような、interactiveな議論の場が必要です。

地震、地殻変動、速度構造、電気伝導度の観測、岩石のレオロジーと構造形成プロセス、
流体の挙動、鉱物の相変化と物性、流体の地球化学、様々な分野が、たくさんの情報を提示しています。
しかし、その解釈において、お互いの知見を必要としているのが実情です。
つまり、今こそ各分野の知見を総合して新しい沈み込み帯像を模索するべき「時」なのです。


個人レベルでの議論にとどまることなく、問題を広い分野で共有し、お互いの専門性に敬意を払いつつ、
何が分れば、今抱えている問題を解くことができるのか。お互いに指摘しあうことが大切です。
さらに、その指摘に対して回答を出していくことで、各分野の新しい領域が開けていくはずです。

そういった創造的な場を作ることができるのは、もしかしたら、地質学者なのかもしれません。
今回のWorkshopにおいて、物質を扱う岩石学者、構造地質学者が情報の媒介者になることによって、
地球化学と地球物理を始めとした、様々な分野の研究者の交流がスムーズになる様子を見てきました。
その現場を見てきた私たちの責任は小さくないように思います。
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