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石ってすごいね

ある地球科学者のひとりごと。なぞかけ、なぞときの日々。

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香林坊経由

昨日今日と香林坊経由で通っています。
なぜなら、車が雪に埋まってしまったから…。

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北陸は頑張ってますよー。

いつものとおり。
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陸が開いて海ができるとき

今から数千万年前の、新第三紀と呼ばれる地質時代のこと。
日本がアジア大陸から離れ、その間の低地に海が入ってきました。
北陸地域の地質には、日本海の形成に伴う様々な現象の痕跡が刻まれています。

中でも目を引くのが、玄武岩、安山岩、デイサイト、流紋岩といった火山岩類。
幅広い組成のマグマが噴出し、流れ、飛散し、また貫入している様子が
広く観察できます。

どうも時期によって、火山活動の特徴が変化してきたようです。
地殻が引き伸ばされて薄くなり、時には分断され、新しい地殻が隙間を埋める。
そんな変動の過程において、マグマ活動が変化していくのでしょう。

そして同時期の火山岩の中にも、組成の異なるものが入り混じっています。
「熱い」地中で様々な岩石が溶け、また互いに混ざり、組成を変化させ、
いろんなタイプの火山活動が起こったのでしょう。

フィールドの石の産状や地域的な関係性を見ながら、
また、岩石の化学組成や、構成鉱物の特徴を見ながら、
ダイナミックな地殻の動きと地球内部の現象を語ることができたら、
どんなに楽しいでしょう。

有機物から炭質物へ

最近、泥質岩の中の炭質物が気になっています。

泥などの堆積物が地中深くに運ばれて熱せられると、
そこに含まれている植物などの有機物の欠片が変質していきます。
その生成物は、化学組成や結晶構造など様々ですが、
主に炭素からなるので、総称して炭質物といいます。

温度が上昇すると共に、有機物に含まれていた
水素や酸素や硫黄分が抜けていき、やがてほとんど炭素からなる
炭質物になります。そして、結晶構造がどんどんと整然としたものに
変化していき、炭素が面状に配列したシートが積み重なった
石墨(グラファイト)という物質になります。
このプロセスは石墨化とも呼ばれます。

この変質の度合い(結晶構造の変化)と温度の関係を正確に調べてやると
炭質物を含む泥質岩が経験した温度を知る指標とすることができます。
これを地質温度計といいます。私はいま、共同研究者と共に、
結晶構造に関する新しい指標を用いた炭質物地質温度計の作成に
取り組んでいます。

植物の繊維を作る分子構造から化学成分が抜けて炭素が残り、
さらに炭素原子の作る配列がどんどんと広がって結晶質になっていく。
その変化をできるだけ広い温度範囲で連続的にとらえるためには
どうすればよいか。オングストロームスケールの原子配置の変化が
私達の分析ではどのように見えているのか。
微小な世界に想像力を注いで考えていますが、どこまで入りきれるか。

地球科学の成果

特に明確な根拠はありませんが、
地球科学というのは華々しい賞とはあまり縁のない分野
なんだろうなあ、という印象を持っています。

でも、たぶん、そうではなくて、私の想像力が足りないだけで、
地球の仕組みを理解することによって、人間の社会にとって
とても役立つことが生まれてくる可能性も、あるに違いありません。

私自身は「廃棄物は出さないに越したことはない」とは思いますが、
例えば、海洋底への埋没処理が完全に安全であると確認されて、
実用化されたとしたら、プレート運動を発見した地球科学者は
ノーベル賞に値するのではないか、という議論になりませんでしょうか。

しかし、地球の営みは、人の営みに比べると、とてもゆっくりと進みます。
もし「ノーベル賞に値する」と評価される時が来たとしても、
受賞すべき人がこの世におられない可能性が強いですね。

もしかしたら、そうなる前に、まじめな地球科学者が
「何百万年後には地表に戻ってくる可能性がある」なんて
主張して、論争になるかもしれませんが。

こういった形で日の目を見なかった地球科学の発見が、過去にあるはず。
社会貢献という視点で地球科学史を見つめてみるのも面白いかもしれません。
そして、将来どう役に立つだろう、と想像しながら、地球のなぞときに
いそしむのも、あながち無意味ではないような気がします。

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